【聴く技術】
コミュニケーションの能力を、話す能力だと思っている限り、相手との間に一体感をもつことは難しいでしょう。
特にカウンセリングにおいて大切なコミュニケーションの能力は、相手に話させる能力であり、それを聴く能力です。
相手の話を最後まで、口でも頭の中でも、批判したり、否定したりしないで聴いていく能力です。
聴いてくれる人の前では、誰でも少しずつ話し出すものです。
近頃のあなたは、話を途中でさえぎらずに、心からの共感をもって最後まで自分の話を「聴いて」もらったことはありますか?
そういえばないな…という方がほとんどではないでしょうか。
それほどどんな話を聞く時、本当に「聴いて」もらっていないのです。
セッションでは、クライアントの話を、心から「聴く」ことが求められます。
一番大切なのは、セラピストがいかに真摯にクライアントに向き合うことですが、
でもどうやってそれを表現したらいいのかわからない、という方もいるでしょう。
「聴く」というのは一つのスキルであり、練習さえすれば誰でも身につけることのできるスキルです。
ここでは、そういったいくつかのスキルをご紹介しましょう。
●心と身体全体で「聴く」
コミュニケーションで伝わるのは言葉だけではなく、「あなたのあり方」全部が伝わっていきます。
(言葉の内容が伝わる割合は7%、ついで声のトーン・大きさ・速さから伝わる割合が38%、表情・身振り・姿勢から伝わる割合が55%、という調査結果があります)
いくら口で「安心して話してください」と言っていても、腕組みをしながら言われたのでは安心して話せませんね。しかしこの非言語的な表現は、無意識のうちにやっていることがほとんどなのです。
ペーシングには様々なものがあります。声の大きさ、話すスピード、姿勢、視線の高さ、言葉づかい、服装…。
といった言葉の内容に気をつけても、相手の身体さが気になると思ったら、非言語的な表現に少し意識を向けてみてください。
また、自分自身のコミュニケーションが、言語以外の部分、つまり非言語の部分が多く伝わるのと同じように、クライアントは言語以外の部分でたくさんのことを伝えてきています。
相手が伝えたい内容だけではなく、そこに表現されている相手の気持ち・感情を受け取ることが大切なのです。