《カウンセリング》アメリカにおけるカウンセリングの歴史①

カウンセリング〜ベーシック〜

●パーソンズと職業指導運動

職業の選択
カウンセリングの考え方は、20世紀の初めにアメリカで生まれたといわれている。

その先駆けとなった運動は、ボストンに在住したフランク・パーソンズの職業指導運動である。彼は1909年に『職業の選択』を著し、職業指導においては、自己の理解、職業の理解、およびその両者の統合が必要であると述べた。すなわち、自分に適した職業を選ぶためには、まず、自分のどのような能力をもち、どのような興味をもち、そして何になりたいのかを知らなければならない。また、それを実現しうる職業が現実にあるのかどうかを知らなければならない。そのためには、職業世界について正しい認識をもつことが必要である。すなわち、どのような職業にはどのような知識や技能が必要なのかを知らなければならない。それらの知識をもとにして、さらに自分の能力、適正と、求める職業との適合性を追求しなければならない。その適合性を求めるのに、カウンセラーは、クライエント(来談者)と共に集めた資料を駆使して、適切な助言を与える必要があると考えられた。

適合性
このような適合性の考え方は、現在考えてもごく普通の考え方である。孫子の兵法に「彼を知り己を知らば、百戦してあやうからず」とあるが、何事も、まず自分の立場や置かれている状況を理解し、相手の様子を把握してからことにあたらなければならない。現在の状況でいえば、進路選択で、学校を選ぶのにも、職業を選ぶのにも、結婚相手を選ぶのにも、転職先を求めるのにもこのような考え方は基本となるものである。

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