カウンセリングの学びを始めると、まず最初に直面するのが「コミュニケーションの基本」です。
“話すこと”“聞くこと”は誰もが日常的に行っていますが、カウンセリングにおけるコミュニケーションは、普段の会話とは性質が大きく異なります。
目的は、クライアントの心に寄り添い、安心して話してもらえる関係をつくること。そのためには、単なる言葉のやり取りではなく、「信頼を築く姿勢」 が不可欠です。
この記事では、カウンセリングの基礎となるコミュニケーションのポイントを分かりやすくまとめていきます。
■ 1. 傾聴(Active Listening)
カウンセリングにおけるコミュニケーションの中心は「聞くこと」です。
しかし、ただ黙って聞くのではなく、クライアントの話に注意深く意識を向け、理解しようとする姿勢が求められます。
傾聴のポイント
相手の言葉に評価を挟まない 相手のペースで話してもらう 合図やうなずきで「聴いている」ことを示す 言葉だけでなく表情・仕草・声のトーンにも注意を向ける
傾聴によってクライアントは「受け入れられている」「尊重されている」と感じ、心を開きやすくなります。
これは信頼形成の第一歩です。
■ 2. 共感的理解
カウンセリングでは「共感」が重要と言われますが、ここでいう共感とは、クライアントの感情をそのまま受け取り、理解を示すことを指します。
自分の価値観や経験を重ねて“同情”することではありません。
共感的理解とは
相手の立場に立ち、その人の視点で物事を見ようとする 感情の動きに寄り添いながら理解を示す 「あなたはこう感じているのですね」と丁寧に返す
共感が伝わることで、クライアントは安心し、より深い話をしてくれるようになります。
■ 3. 受容(Unconditional Positive Regard)
クライアントの話をそのまま受け入れる姿勢も欠かせません。
カウンセリングでは、クライアントの価値観や行動を否定しないことが重要です。
受容は、
判断しない 過去の行動を責めない 良い・悪いとラベルを貼らない こうした姿勢から生まれます。
“どんなあなたでもここにいてよい”
という空気が生まれたとき、クライアントは本音を語りやすくなります。
■ 4. オープン・クエスチョン(開かれた質問)
コミュニケーションを深めるためには、相手の考えや気持ちを自然に引き出す質問が大切です。
そこで役立つのが「開かれた質問」です。
オープン・クエスチョンの例
「どのように感じましたか?」 「そのとき、どんなことが心に浮かびましたか?」 「あなたにとって、その出来事はどんな意味がありますか?」
“はい・いいえ”で終わる質問では、クライアントの情報は深まりません。
開かれた質問は、話の流れを自然に広げ、より深い理解につながります。
■ 5. 非言語コミュニケーションを大切にする
コミュニケーションは言葉だけでなく、表情、姿勢、声の調子、間(ま)などの「非言語要素」によって大きく影響されます。
重要な非言語のポイント
柔らかい表情 相手の目を見るが、見つめすぎない 開かれた姿勢 静かで落ち着いた声 クライアントのペースに合わせた呼吸
カウンセラーが安心感をまとっていると、クライアントは自然とリラックスして話しやすくなります。
■ 6. 話す量は控えめに
初心者がつまずきやすいポイントのひとつが、
「話しすぎてしまう」というものです。
カウンセリングの主役はクライアントであり、カウンセラーではありません。
アドバイスをする必要もありません。
必要なのは、
“話しやすい環境を整え、相手の内側から自然に答えが出てくるのを支える”
という姿勢。
そのため、カウンセラーが話す量は少なく、質が重要になります。
■ まとめ:コミュニケーションの基本は「寄り添う姿勢」
カウンセリング(ベーシック)におけるコミュニケーションは、技術ではなく「姿勢」が中心です。
丁寧に聴く 心に寄り添う 判断しない 相手を尊重する 自然に話が出る環境を作る
これができるようになると、クライアントの心はゆっくり開かれ、本音に触れるコミュニケーションが生まれます。
コミュニケーションは、一朝一夕で身につくものではありませんが、意識するほど成長します。
小さな積み重ねが、カウンセラーとしての大きな力となるでしょう。

