《カウンセリング(ベーシック)》カウンセリングの歴史 ― 心を理解するための歩み

カウンセリング〜ベーシック〜

現代では当たり前のように行われているカウンセリング。しかし、その歴史は決して長いものではなく、わずか100年ほどの間に大きく発展してきました。
「人の心に寄り添い、話を聴き、問題を一緒に理解していく」という考え方は、実はとても新しい文化なのです。

この記事では、カウンセリングがどのように生まれ、どのように現在の形へと発展してきたのかを、ベーシック受講者でも理解しやすくまとめていきます。

■ 1. カウンセリングの始まりは「心理学の発展」から

カウンセリングは、心理学の発展と深く結びついています。

19世紀後半、それまで「心の問題」は宗教や道徳の領域とされていました。しかし、心理学という学問が生まれ、「心を科学的に研究する」流れが少しずつ広がっていきます。

その流れの中心となったのが、
・ジークムント・フロイト(精神分析)
・ウィルヘルム・ヴント(実験心理学)
といった学者たちでした。

フロイトは無意識の存在を明らかにし、人の行動や感情が「見えない心の働き」によって作られていることを示しました。この考えはのちにカウンセリングの基盤となります。

■ 2. カウンセリングの誕生 ― ロジャーズの「来談者中心療法」

現代のカウンセリングの原型を作った人物といえば、
カール・ロジャーズ
です。

ロジャーズは、当時主流だった「専門家が分析し、指示し、修正する」やり方に疑問を持っていました。

そして彼が提示したのが、
来談者中心療法(Client-Centered Therapy)
です。

ロジャーズの革新的な考えは以下の3つに集約されます。

● ① 無条件の肯定的関心

クライアントを評価せず、否定せず、ありのまま受け止める姿勢。

● ② 共感的理解

相手の世界を、相手の立場から深く理解しようとする態度。

● ③ 誠実・一致(純粋性)

カウンセラー自身が飾らず、偽らず、誠実であること。

これらは現在のカウンセリングの基礎となっており、現場での「傾聴」や「受容」「共感」の原点でもあります。

ロジャーズ以前、クライアントは「専門家の指示を受ける存在」でした。ロジャーズ以降、クライアントは 自分自身を成長させる主体 として尊重されるようになったのです。

これはカウンセリングの歴史において最も大きな転換点と言えるでしょう。

■ 3. 20世紀後半の発展 ― 多様な技法の誕生

ロジャーズが土台を作った後、カウンセリングは急速に広がり、多様なアプローチが誕生しました。

● 認知行動療法(CBT)

思考のクセに注目し、現実的な行動への変化を促す技法。
不安やうつに対して実証研究が進み、世界的に最も使われています。

● ゲシュタルト療法

「今・ここ」の感情や体験を重視。
体の感覚に気づくことが、心の解放につながると考えます。

● 家族療法

個人ではなく「家族システム」をひとつの単位として理解するアプローチ。

● ブリーフセラピー

短期間で成果を出すために、問題ではなく「解決」に焦点を当てる技法。

このように、カウンセリングはより実践的で、多様なニーズに応えられるよう進化していきました。

■ 4. 日本におけるカウンセリングの広がり

日本にカウンセリングが本格的に入ってきたのは第二次世界大戦後のことです。

その後、
・学校カウンセラー
・産業カウンセラー
・医療のメンタルヘルス
など、徐々に社会の中で必要とされるようになっていきました。

1990年代には「心のケア」という言葉が広がり、阪神淡路大震災を機に心理支援の重要性が強く認識されるようになります。

現在では、医療だけでなく、職場、学校、地域、オンラインなど、さまざまな場面でカウンセリングが行われるようになっています。

■ 5. 現代のカウンセリングが大切にしているもの

カウンセリングの歴史を振り返ると、時代ごとにアプローチは変わりながらも、一貫して大切にされてきたものがあります。

● ① クライアントを尊重する

答えはクライアント自身の中にあるという考え方。

● ② 安心・安全の場を提供する

話してもよい、弱さを見せてもよい、という心理的安全性。

● ③ 寄り添い、共に歩む

カウンセラーは指示者ではなく伴走者であるという姿勢。

これらは現在のカウンセリング技法すべての土台となっています。

■ 6. まとめ ― 歴史が教えてくれる「カウンセリングの本質」

カウンセリングは100年という短い歴史の中で大きく発展してきました。
その中で確立されたのは、
「人は本来、自分を癒し、成長させる力を持っている」
という考え方です。

ロジャーズが示したように、カウンセリングとは、
その“内なる力”が自然に働き始めるように、
適切な場と関わりを提供する技法なのです。

歴史を学ぶことで、カウンセリングの深さや意味がよりクリアになります。
ベーシック講座で学ぶ「傾聴」「受容」「共感」は、この長い歴史の結晶と言えるでしょう。

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