日本でカウンセリングという言葉が一般的に知られるようになったのは、実はそれほど古いことではありません。
しかし、その背景には、戦後から続く教育・医療・福祉の発展と、人々の価値観の変化が深く関わっています。
この記事では、「日本のカウンセリングがどのように広がり、形づくられてきたのか」をわかりやすく解説します。
■ 戦後の教育カウンセリングから始まった
日本のカウンセリングが体系的に導入されたのは 1950年代。
とくに影響を与えたのが アメリカの来談者中心療法(ロジャーズ) でした。
当時の日本は戦後の混乱期で、学校教育の立て直しが求められていた時代。
その中で、児童・生徒の心の問題に寄り添う必要性が高まり、
スクールカウンセリング 教師による生徒指導 進路相談
などが整備されていきました。
この時期、日本のカウンセリングは主に 教育領域 を中心に広まり、
“カウンセリング=学校での相談” というイメージが根強く形成されていきます。
■ 1970〜80年代:産業・医療・地域へと広がる
高度経済成長が進むにつれ、働く人のストレスや家庭問題が社会課題となり、
1970年代以降、カウンセリングは教育以外の分野にも広がっていきます。
● 医療での心理療法の発展
精神科領域では、
精神分析 行動療法 認知療法
などが導入され、 “心の専門家” としての臨床心理士の役割が大きくなっていきました。
● 企業カウンセリングの始まり
バブル期には、企業内の人間関係やストレス問題が顕在化し、
EAP(従業員支援プログラム) などのカウンセリングが登場。
「働く人のメンタルケア」という概念が日本に根付き始めます。
■ 臨床心理士の誕生と専門性の確立(1990年代)
1995年、民間資格として 臨床心理士 が誕生。
大学院で専門的に心理学を学び、医療・教育・福祉など幅広い分野で活動する専門家が増えました。
この時期、日本のカウンセリングは「民間の相談業」ではなく
確立された専門職 へと進化していきます。
同時に、箱庭療法・家族療法・ブリーフセラピーなど、
多様なアプローチが紹介され、心理支援の幅が一気に広がりました。
■ 2010年代:公認心理師制度の創設で新しい時代へ
2017年、日本初の国家資格として 公認心理師 が誕生。
これによって、カウンセリングは医療・福祉・学校・司法など
国家レベルで支えるべき重要な職業として法的に位置づけられました。
公認心理師の登場には以下の目的があります。
心の支援を受けやすくする 専門性と質を安定させる 医療との連携を強化する
結果として、日本におけるカウンセリングの信頼性は大きく向上し、
“誰でもメンタルヘルスの支援を受けられる時代” が広がりつつあります。
■ そして現代へ ─ 多様化する「相談のかたち」
現代の日本では、カウンセリングは以前よりも身近なものになっています。
学校のスクールカウンセラー 企業のメンタルケア 病院・クリニックの心理相談 児童福祉・介護領域での家族支援 オンラインカウンセリング コーチング・セラピーなどの民間サービス
人々の価値観が多様化する中で、
「対話による心のサポート」を求める声は年々増加しています。
■ まとめ:日本のカウンセリングは“人と社会の変化”とともに成長してきた
日本のカウンセリングの歴史をふり返ると、
その発展は常に 社会の変化 とセットになってきました。
戦後教育の再建 働き方の変化 家族のかたちの変化 ストレス社会の深刻化 心の健康への意識の高まり
これらの流れが積み重なり、
現在のカウンセリング文化が形成されています。
カウンセリング(ベーシック)を学ぶ上でも、
“なぜ今カウンセリングが必要とされているのか”
を理解することはとても大切です。

