《カウンセリング(ベーシック)》アメリカのカウンセリングの歴史 ― 現代カウンセリングをつくった“心の歩み”

カウンセリング〜ベーシック〜

現代のカウンセリングは、多くの国や文化の影響を受けながら発展してきましたが、その中心的な役割を果たしたのが アメリカ です。
現在私たちが学ぶカウンセリングの技法や理念、資格制度の多くは、アメリカの心理学・教育学・社会運動の流れの中で形づくられました。

この記事では、アメリカにおけるカウンセリングの歴史を、時代の変化とともにわかりやすく解説します。

■ 1. 1900年代初頭:職業指導から始まったカウンセリングの原点

アメリカのカウンセリングの出発点は、教育分野の職業指導(Vocational Guidance) でした。
その中心人物が フランク・パーソンズ(Frank Parsons) です。

彼は若者たちが自分の能力・興味・価値観を理解し、適職を選ぶための支援が必要だと考え、
1908年に「職業指導センター」を設立。

ここが“カウンセリング”という専門領域の最初の起点となります。

パーソンズは
• 自己理解
• 職業理解
• 意思決定のサポート
という枠組みを提唱しました。

これらは現在のキャリアカウンセリングの基本概念であり、100年以上経った今でも生き続けています。

■ 2. 1910〜30年代:学校カウンセリングの広がり

アメリカは移民国家として急速な人口増加が進み、学校現場での生徒指導・適応問題が深刻化しました。
そこで、教師が生徒の相談に応じる ガイダンスカウンセラー が多く配置されるようになります。

この時代の特徴は、
“カウンセリング=学校での相談支援”
という流れが強くなったことです。

現在のスクールカウンセリングの原型も、ここで形づくられています。

■ 3. 1940〜50年代:ロジャーズの登場と「来談者中心療法」の革命

アメリカのカウンセリング史において最も大きな転換点が、
カール・ロジャーズ(Carl Rogers) の登場です。

ロジャーズは、それまで主流だった「指導型・助言型」の相談ではなく、
来談者(クライアント)の内側の成長力を信じる
という革新的な考えを提唱しました。

彼の理論は
• 無条件の肯定的関心
• 共感的理解
• 一致(純粋性)

という3つの条件(コア・コンディション)を中心とします。

このアプローチはアメリカだけでなく世界中のカウンセリングの基盤となり、
教育・医療・福祉・企業の現場に大きな影響を与えました。

現代のカウンセリングの大部分は、ロジャーズの考え方を土台にしていると言っても過言ではありません。

■ 4. 1960〜70年代:心理療法の多様化と社会運動の影響

アメリカでは1960年代に社会が大きく揺れ動き、
• 公民権運動
• 反戦運動
• 女性解放運動
• 人間性心理学の台頭
などが広がりました。

この社会背景が、カウンセリングにも深い影響を与えます。

● 人間性心理学(ヒューマニスティック)の発展

アブラハム・マズローやロジャーズが中心となり、
「人間の可能性」や「自己実現」が重視されるようになります。

● グループセラピーや感情解放の技法

エンカウンターグループ、ゲシュタルト療法、身体志向のアプローチなど、体験型の心理療法が広がりました。

● カウンセリングの“専門職”化

大学院レベルの専門教育が整備され、カウンセラーが独立した専門職として認知され始めたのもこの時期です。

■ 5. 1980〜90年代:認知行動療法の普及と資格制度の確立

1980年代以降は、エビデンス(科学的根拠)を重視する流れが強まり、
認知行動療法(CBT) が急速に普及しました。

この流れの中で、
• 精神医療
• 教育
• 職場支援
• 家族療法
• 依存症支援
などの分野でカウンセリングが活用されるようになりました。

さらに、アメリカでは早い段階で
国家レベルの資格制度や倫理基準 が整えられ、
安全で信頼できる専門職としてのカウンセラーが社会に定着していきます。

■ 6. 2000年代〜現在:オンライン化・多文化対応・ウェルネスの時代へ

現代アメリカのカウンセリングは、社会の多様化やテクノロジーの発展に合わせて進化を続けています。

● オンラインカウンセリングの広がり

Zoom・チャット・アプリを使った相談が一般化。

● 多文化カウンセリングの重要性

民族・宗教・性別・性自認の多様性に配慮した支援が必須に。

● “ウェルネス”と“マインドフルネス”の融合

健康・幸福・ライフスタイルの全体を整えるアプローチが重視されるようになりました。

アメリカのカウンセリングは、
「心の問題の解消」だけでなく
「よりよく生きるためのサポート」
へと進化しています。

■ まとめ:アメリカのカウンセリングは“社会のニーズ”に応えて発展してきた

アメリカのカウンセリングの歴史を振り返ると、
いつの時代も社会が抱える問題に寄り添いながら、
新しい理論や技法が生まれてきたことがわかります。
• 若者の職業支援
• 教育現場の悩み
• 心理療法の革命(ロジャーズ)
• 社会運動による意識の変化
• 科学的アプローチ(CBT)
• 多文化社会への対応
• オンライン・ウェルネスの時代へ

カウンセリングは、常に“人の生き方”に寄り添いながら進化してきた領域です。

あなたが学ぶカウンセリング(ベーシック)においても、
このアメリカの流れを知ることは、
現代のカウンセリングがなぜ今の形になっているのかを理解する助けになります。

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