カウンセリングを学ぶ上で欠かせないのが「実習」です。理論だけでは身につかない、実際の場面での姿勢や対応力を体験を通じて深めることができます。この記事では、受講者の皆さまが実習に臨む際に大切にしていただきたい心構えやポイントを、カウンセラーの立場からお伝えします。
実習の目的とは
実習の目的は「正しく話すこと」や「うまく対応すること」ではありません。大切なのは、相手の声を聴き、寄り添う姿勢を体験することです。カウンセリングは技術ではなく、まず「関わり方のあり方」から始まります。
実習の場では、皆さんはクライアント役やカウンセラー役を交代で経験します。どちらの役割も、貴重な学びを与えてくれます。クライアント役を体験すると、話を聴いてもらう安心感や、自分の言葉が受け止められる喜びを実感できます。カウンセラー役を担うと、相手の言葉に耳を傾け、受け止め、返す難しさを体感できます。
実習に取り組む心構え
1. 完璧を目指さない
実習の場では「上手に話さなければ」「正しい言葉を返さなければ」と緊張してしまう方が多いです。しかし、カウンセリングにおいて正解は一つではありません。完璧さを求めず、「今の自分ができる精一杯」を大切にしてください。
2. 聴くことに集中する
カウンセラーの基本は「傾聴」です。相手の言葉に耳を傾け、評価や批判をせずに受け止めること。それが相手にとって安心感となり、より深い自己表現につながります。頭の中で次の質問を考えるよりも、まずは目の前の言葉をそのまま受け取る姿勢を大切にしましょう。
3. 自分の感覚を信じる
実習では、相手の話を聴きながら「この人はこう感じているのかな」と直感することがあります。それは、必ずしも正解でなくてもかまいません。感じ取ったことを素直に返してみることで、相手が新しい気づきを得るきっかけになります。
実習で学べること
実習の経験を重ねることで、次のような学びを得ることができます。
言葉以外のコミュニケーションに気づく 相手の表情や声のトーンからも感情を受け取ることができるようになります。 沈黙の大切さを理解する 会話が途切れると不安になるかもしれませんが、沈黙こそが相手の内面を整理する時間になります。 自己理解が深まる 実習を通じて、自分自身の価値観やクセ、課題にも気づけます。これはカウンセラーとして成長するための重要な一歩です。
実習後の振り返り
実習は「やって終わり」ではなく、振り返りを通じて学びが定着します。
どんな時に聴けていたか どんな場面で言葉が詰まったか 相手からのフィードバックで印象に残ったことは何か
これらを整理することで、自分の強みや課題がより明確になります。
まとめ
カウンセリング《ベーシック》の実習は、理論を実際の体験につなげるための大切なステップです。完璧さを求めず、聴くことに集中し、自分自身の感覚を大切にしながら臨んでください。実習での一つひとつの経験が、皆さまのカウンセリング力を育み、やがて人に寄り添う確かな力へとつながっていきます。

