カウンセリング(アドバンス)においてリップサービスは不要な理由
—クライアントの成長を本気で支えるために—
カウンセリングの世界では、「相手を否定しない」「承認する」というスタンスが基本として語られます。しかし、アドバンス(上級)レベルのカウンセリングに進むほど、多くの専門家が気づくのは──リップサービスは、むしろクライアントの成長を妨げるという事実です。
優しい言葉をかけることと、問題の本質に触れずに肯定だけを並べることは、まったく別の行為です。この記事では、なぜアドバンスカウンセリングにおいて「リップサービスが不要なのか」を、実践的な視点からわかりやすく解説します。
■ リップサービスが「カウンセリング」の本質から外れるワケ
1. クライアントの自己理解を曇らせるから
上辺だけの褒め言葉は、一時的に安心感を与える一方で、
「本当の問題は何なのか?」
「自分は何を感じているのか?」
という内省の機会を奪ってしまいます。
アドバンスレベルでは、クライアントが自分の深層心理に触れ、気づきを得ることが中心です。
ここにリップサービスが紛れ込むと、カウンセリングが「ただ慰められる場所」へと落ちてしまい、成長につながりません。
2. 信頼関係が“脆い形”で構築されてしまうから
リップサービスは、クライアントに「この人は本音で向き合っていないかも」という違和感を生みやすく、深いラポール(信頼関係)は築けません。
本音で向き合い、必要なときにはあえて沈黙を作り、
「その考えの奥には、どんな気持ちがありますか?」
と核心へと導く姿勢こそ、アドバンスのカウンセリングに求められる信頼の形です。
3. 問題の核心に触れられなくなるから
リップサービスが増えるほど、カウンセラー自身が「嫌われない関わり方」を求めやすくなります。
これは、カウンセリングの進行を止めてしまう最大の落とし穴です。
アドバンスレベルでは、クライアントが避けてきた課題に触れることもあります。
時には耳の痛い質問が必要になる場面もあります。
その瞬間にこそ、クライアントが本質的に変わるチャンスが生まれるのです。
■ アドバンスカウンセリングは「優しいだけ」では成立しない
「丁寧に寄り添う」と「ご機嫌を取る」は違います。
優しさを保ちつつも、必要なときは明確に切り込む──これがアドバンスの技術です。
● 真の寄り添いとは「現実に向き合う勇気を支えること」
クライアントが自分で気づき、選び、変わっていく力を信じる。
そのためには、時として厳しい現実を示すことも含まれます。
ここで言う“厳しさ”は、攻撃ではなく、成長を促すための誠実な姿勢です。
● 本音の対話が、最も安心できる関係をつくる
上辺だけの肯定ではなく、
「あなたの本心は何ですか?」
「その選択は、本当にあなたが望むものですか?」
と、深い問いを投げかける。
こうしたやり取りこそが、クライアントにとって最大の安心材料となります。
■ では、どうすればリップサービスを避けられるのか?
アドバンスのカウンセラーが実践しているポイントは以下の3つです。
1. 事実と感情を分けて伝える
リップサービスではなく、観察に基づいたフィードバックを行う。
例:「あなたがその話をしているとき、とても悔しそうに見えました。」
2. クライアントの“意味づけ”を尊重する
「正しい答え」を与えるのではなく、本人が答えに気づくサポートをする。
3. 沈黙を恐れない
沈黙は、クライアントが考えを整理するための大切な時間。
埋めるためのリップサービスは不要です。
■ まとめ:リップサービスは優しさではなく“逃げ”になることがある
アドバンスカウンセリングにおいて求められるのは、
クライアントの成長を本気で信じて、真摯に向き合う姿勢です。
リップサービスは一見優しそうに見えますが、
クライアントの可能性に蓋をしてしまうことがあります。
だからこそ、上級カウンセラーほど、
誠実で、本音の対話を大切にする
──これがアドバンスカウンセリングの本質です

