カウンセリングが上級レベルに進むと、
「どんな質問をするか」よりも、
“カウンセラー自身の状態” がセッションの質を左右することを実感します。
その中でも特に大切なのが 脱力(リラックス)と呼吸法。
カウンセラーの身体と心が整うほど、クライアントは安全を感じ、
より深い気づきや感情に触れやすくなります。
本記事では、アドバンスレベルで必須となる
脱力と呼吸法の意味、効果、実践方法について解説します。
■ なぜ脱力が大切なのか?
カウンセリング中、カウンセラーが緊張していると、
その微細な緊張は空間全体に伝わります。
体に余計な力が入る 呼吸が浅くなる 間を埋めようと焦る クライアントの言葉を“取りに行って”しまう
この状態では、クライアントは無意識に敏感に反応し、
深い話へ進みにくくなります。
逆に、カウンセラーがゆったりと脱力していると
クライアントも自然と安心し、
「ここなら話しても大丈夫」という感覚が育ちます。
つまり、脱力とは
“場の質を安定させる土台”
なのです。
■ 呼吸はカウンセリングの「見えない軸」
呼吸は、その人の心の状態を最もよく表すシグナルです。
緊張すると呼吸は速く浅くなり、リラックスするとゆっくり深くなります。
カウンセラーが呼吸を整えていると…
声が落ち着く 話すテンポがやさしくなる クライアントが安心しやすい 感情の揺れに巻き込まれにくくなる
呼吸はクライアントに触れることなく、
その場の空気を安定させる“非言語のサポート” として働きます。
■ アドバンスで求められる呼吸の質
アドバンスレベルでは、
ただ深呼吸するのではなく、
**「ゆっくり・静か・自然」**がキーワードになります。
以下のポイントを意識すると、セッション中の呼吸が一気に整います。
吸うより「吐く」を長くする 吐く息を長くすると、副交感神経が働き落ち着きやすくなる。 胸でなく“お腹”で呼吸する 腹式呼吸は安定感をつくり、焦りを鎮める。 音を立てない静かな呼吸 クライアントの邪魔にならず、自然と空間に溶け込む。 相手が感情に触れる瞬間ほど呼吸を深くする カウンセラーの呼吸が安定すると、クライアントも安心して感情に触れやすい。
■ セッション前におすすめの「脱力ルーティン」
① 肩と腕の力を抜く
深呼吸と一緒に肩を軽く上下し、
筋肉の緊張をゆるめる。
② 顎の力をゆるめる
顎の緊張は全身の緊張につながるため、
口元を少し開けるイメージで脱力する。
③ 背中をまっすぐにする
無理に良い姿勢をつくるのではなく、
「座っているだけで楽な姿勢」を見つける。
④ 胸よりお腹を広げる意識を持つ
呼吸が自然に深くなり、声も柔らかくなる。
この数分だけでも、セッションの質が大きく変わります。
■ セッション中の「呼吸の使い方」
● クライアントが沈黙している時
カウンセラーが呼吸を深くすると、
クライアントも安心して沈黙できる。
● 感情が高まった時
慌てて寄り添おうとせず、
まず自分の呼吸を整えると安定した関わりができる。
● 話が混乱している時
カウンセラーがゆっくり呼吸すると、
クライアントもペースを落としやすい。
■ まとめ:脱力と呼吸は「関わりの質」を決める
アドバンスカウンセリングにおける脱力と呼吸法は、
ただのリラクゼーションではなく、
クライアントが安心して深い話に進めるための“基礎技法” です。
脱力 → 空間の緊張をやわらげる 呼吸 → クライアントの心の動きと同調しやすくなる
カウンセラーが整っているだけで、
クライアントの話す内容、深さ、気づきの質が大きく変わります。
セッションの前後、そして最中にも、
呼吸と脱力を意識しながら、
“揺れない安心感のあるカウンセラー”を育てていきましょう。

