【カウンセリング(アドバンス)】論理療法とは?感情を作り出す“思考”を整えるアプローチ
カウンセリングのアドバンス領域では、クライアントの「感情の背景にある思考のクセ」を扱う技法として、**論理療法(RET:Rational Emotive Therapy)**が重要な位置づけになります。論理療法は、アルバート・エリスによって提唱された認知のアプローチで、「出来事そのものが感情を作るのではなく、その出来事をどう解釈したかによって感情が生まれる」という考えを軸にしています。
私たちは日常生活の中で、無意識のうちに「~すべき」「~でなければならない」といった強い思い込みやルールを持っています。論理療法では、これらを 「非合理的信念(irrational beliefs)」 と呼びます。非合理的信念は、強い怒り、落ち込み、不安などの不快な感情を生み出し、問題を複雑化させる原因になります。
論理療法の中心にあるのが A-B-C理論 です。
A:出来事(Activating event) B:信念(Belief) C:結果としての感情・行動(Consequence)
多くの人は「A→C」、つまり出来事が感情を生むと思いがちです。しかし実際は「A→B→C」であり、**B=信念(考え方、受け取り方)**が結果を左右している、というのが論理療法の重要な視点です。
■ 非合理的信念の典型例
論理療法では特に次の3つが“問題を生む思考”として知られています。
〜すべき思考(must思考) 「完璧にできなければいけない」「相手は自分を尊重すべき」などの思い込み。 破局化思考(catastrophizing) 「もし失敗したら人生は終わりだ」といった極端な解釈。 低い挫折耐性(I can’t stand it思考) 「こんなの耐えられない」「我慢できない」という感情優位の反応。
これらが強いほど、感情は不安定になりやすく、対人関係や行動にも悪影響を及ぼします。
■ カウンセリングでの実践
アドバンス領域のカウンセリングでは、クライアントが抱える信念を丁寧に言語化し、
「その信念は本当に事実なのか?」
「もっと現実的で柔らかい考え方はあるか?」
といった、合理的信念(rational beliefs) への置き換えを支援します。
例えば、
A「上司に注意された」
B「自分は無能だ。完璧でなければいけない」
C「落ち込み、行動できなくなる」
という流れがあった場合、
「注意されること=価値がないことではない」
「完璧でなくても前に進める」
といった合理的な考え方へ再構築していきます。
■ まとめ
論理療法は、感情そのものを抑えるのではなく、感情を生み出す“思考のルール”を整えるアプローチです。クライアントが自分の内側にある思考習慣に気づくことで、より柔軟で安定した心を取り戻すことができます。アドバンスのカウンセリングでは欠かせない技法のひとつと言えるでしょう。

