《カウンセリング(ベーシック)》基本の傾聴をマスターしよう!

カウンセリング〜ベーシック〜

カウンセリングという言葉を聞くと、多くの人は「人の話をじっくり聴く仕事」とイメージするでしょう。
しかし、実際の傾聴は単なる「耳で聴く」行為ではありません。カウンセラーは、心と身体のすべてを使って相手の声を受け止めるのです。そこには、言葉の奥にある感情や沈黙の意味を感じ取る深い感性が必要になります。


傾聴とは「心を向ける」こと

傾聴の基本は、相手の話を評価や判断をせずに聴くことです。
けれども「聴く」という漢字には、が含まれています。つまり傾聴とは、相手の言葉を耳で聴くだけでなく、目で相手の表情を見つめ、心でその感情を感じ取る行為なのです。

たとえば、相手が「大丈夫です」と言っても、表情がこわばっていることがあります。その時、言葉だけを受け取るのではなく、「この人は本当は苦しいのかもしれない」と感じ取ることが、心で聴くということです。


身体もまた「聴く」ための大切な道具

カウンセラーが傾聴する際、身体の使い方も非常に重要です。
姿勢、視線、呼吸、うなずき——それらすべてが相手に安心感を与えます。

相手が話しづらそうにしているとき、身体を少し前に傾けるだけで「聴いていますよ」というサインになります。
また、呼吸をゆっくり整えることで、相手の呼吸も自然と穏やかになります。まるでエネルギーが共鳴するように、身体のリズムを通じて心がつながるのです。

つまり、傾聴とは耳だけで行うのではなく、身体全体で感じ取る「共鳴の姿勢」だといえます。


沈黙の中にある声を聴く

傾聴において、最も大切なのは「沈黙を恐れないこと」です。
相手が言葉に詰まったとき、多くの人は気まずくなって何かを話したくなります。
しかし、その沈黙の中こそ、相手が心の奥を整理している時間なのです。

カウンセラーは、その静けさを邪魔せず、ただ見守ります。
体の重心を落ち着け、ゆっくりと呼吸し、相手の存在に全神経を向ける。
その姿勢が、言葉以上の「安心」を伝え、やがて相手が自らの気持ちを表現できるようになります。


全身で傾聴するということ

「全身で傾聴する」とは、相手の言葉を受け止めながら、自分自身の感情や身体の反応にも意識を向けることでもあります。

たとえば、相手の話を聴いて胸が締め付けられるように感じたとき、それは自分の心が共鳴している証です。
その感覚を否定せず、「今、私はこの人の悲しみを感じている」と静かに認識することで、より深い共感が生まれます。

カウンセラーが自分の感情を丁寧に見つめながら傾聴することで、相手もまた自分の内側を見つめる勇気を得るのです。


まとめ

カウンセリングの傾聴は、ただ話を聞く技術ではなく、心と身体を通して相手と共にいる在り方です。
耳で聴き、目で感じ、心で寄り添い、身体全体で「あなたの存在を受け入れています」と伝えること。
それこそが、カウンセリングにおける真の傾聴の姿です。

全身で傾聴するとき、カウンセラーもまた癒され、双方の心が静かに整っていきます。
それは、言葉を超えた“魂の対話”とも言える時間なのです。


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