アドバンス受講者向けに、深層心理・信頼・自己覚醒の流れを意識して構成しました。
カウンセリング《アドバンス》において ― 全ての答えはクライアントの潜在意識にある
はじめに
カウンセリングを深く学んでいくと、多くのカウンセラーが直面する問いがあります。
それは、「本当に人を変えることはできるのか?」というものです。
答えを先に言うなら、カウンセラーは人を変えることはできません。
しかし、クライアントが自ら気づき、変化していくための内なる力を引き出すサポートはできます。
そしてその鍵を握っているのが――「潜在意識」です。
アドバンスレベルのカウンセリングでは、この“無意識の領域”をどのように扱うかが、セッションの深さを決定づけます。
潜在意識とは何か
私たちの心の大部分を占めているのは、表には見えない潜在意識(無意識)です。
それは、氷山の海面下のように、普段は意識できないけれど確かに存在し、
感情・反応・判断・行動などを無意識のうちに支配しています。
潜在意識には、
幼少期の体験や記憶 親や社会から受け継いだ価値観 抑圧された感情 自分に対する思い込み などが蓄積されています。
たとえば、クライアントが「自信が持てない」と訴えるとき、
その根底には「ありのままの自分では愛されない」という無意識の信念が眠っていることがあります。
意識レベルでどんなにポジティブになろうとしても、
潜在意識が「私はダメだ」と信じている限り、現実はその通りに再現されてしまうのです。
カウンセラーの役割 ― 答えを与えない勇気
アドバンスレベルのカウンセリングにおいて最も大切なのは、
「カウンセラーが答えを出さないこと」 です。
クライアントの中には、「どうすればいいですか?」「何が正解ですか?」と助言を求める方も多くいます。
しかし、カウンセラーがその都度答えを与えてしまうと、
クライアントは自分の内側にある答えを探す機会を失ってしまいます。
本来、すべての答えはクライアント自身の中――つまり潜在意識の中にあります。
カウンセラーの役割は、答えを教えることではなく、
その人が自分の内なる声に気づけるよう導くこと なのです。
それはまるで、暗闇の中を歩く人に懐中電灯を渡すようなもの。
光を当てるのはカウンセラーではなく、クライアント自身の手です。
潜在意識にアクセスするための鍵
クライアントが自分の潜在意識に気づくためには、安心と信頼の空間が不可欠です。
安全な場でこそ、心は本音を語り始めます。
そのためにカウンセラーが意識すべきポイントは次の3つです。
評価や否定をしない クライアントの言葉や感情に「正しい・間違い」を持ち込まないこと。 無意識の世界は論理ではなく感覚で動いています。 沈黙を恐れない クライアントが言葉を探している時間こそ、潜在意識が働いている瞬間です。 その沈黙を共に呼吸で支えることで、深層の気づきが生まれます。 身体の反応にも注目する 無意識のサインは言葉ではなく身体に現れます。 声のトーン、姿勢、呼吸の変化などを丁寧に観察しましょう。
これらを意識することで、クライアントは自分自身の深い部分に触れ、
やがて「本当の答え」に気づいていきます。
答えは外ではなく、内にある
現代社会では、多くの人が「正解」を外に求めています。
SNS、専門家、マニュアル、情報――。
けれども、どんなに知識を集めても、心が満たされないのはなぜでしょうか。
それは、本当の答えは外にはなく、内側にしか存在しないからです。
カウンセリングの目的は、クライアントを「導く」ことではなく、
自分の内側にある真実を思い出させることです。
潜在意識には、その人の過去・感情・願い・可能性――
あらゆる情報がすでに刻まれています。
カウンセラーは、その“潜在意識の地図”を一緒に読み解く案内人なのです。
まとめ
カウンセリング《アドバンス》における最大の理解は、
**「クライアントの中にすでにすべての答えがある」**ということです。
カウンセラーは、その気づきを信じ、待ち、見守る存在。
クライアントの潜在意識が安心して声を出せるような空間をつくることで、
本来の自己が自然に姿を現します。
癒しや成長とは、外から与えられるものではなく、
内なる気づきが芽生えるプロセスです。
カウンセリングの真の目的は、
「答えを教える」ことではなく、
「その人が自分の中の答えに気づくこと」――。
それが、アドバンスカウンセリングにおける深遠な学びなのです。

