《カウンセリング(アドバンス)》ありのままを受け入れることが、癒しのはじまり

カウンセリング〜アドバイス〜

カウンセリングを学び、実践していくと、必ず行き着く言葉があります。
それが、「あなたはあなたのままでいい」というメッセージです。

この言葉はとてもシンプルですが、深い意味を持っています。
多くの人が、この言葉を「頭では理解しているけれど、心からは信じられない」と感じています。
なぜなら、私たちは幼いころから「もっと頑張らなければ」「良い人でいなければ」と教えられながら育ってきたからです。
でも、本当の癒しは「頑張って変わること」ではなく、「今の自分をそのまま認めること」から始まるのです。

■ “理想の自分”を追いかけて疲れていませんか?

多くの人は、無意識のうちに“理想の自分”を追い求めています。
・人に好かれる自分
・失敗しない自分
・感情を乱さない自分
・いつも笑顔で優しい自分

それらを目指すこと自体は悪いことではありません。
でも、その“理想”が“今の自分を否定する基準”になってしまうと、心は苦しくなります。

「今の私はダメだから、もっと頑張らなきゃ」
「こんな自分を見せたら嫌われる」
そんな思い込みが積み重なると、いつしか“本当の自分”が見えなくなってしまうのです。

■ カウンセリングは「変える」ためではなく、「気づく」ための時間

カウンセリングでは、クライアントに「変わりなさい」とは言いません。
むしろ、「今、どんな自分がここにいるのか」を一緒に見つめていく時間です。

怒りや悲しみ、嫉妬、孤独、無力感――
それらは私たちが「見たくない」と思って心の奥に押し込めてきた感情たちです。
けれど、それらもすべて、あなたの大切な一部。

カウンセリングでは、そうした感情を否定せず、「そう感じている自分」を受け止めていきます。
そのとき、心の中に静かな安心感が広がります。
なぜなら、人は“受け入れられたとき”に初めて、自分を癒す力が目覚めるからです。

■ 「あなたはあなたのままでいい」という言葉の本当の意味

「あなたはあなたのままでいい」という言葉は、
「何も変わらなくていい」「努力しなくていい」という意味ではありません。

それは、「どんな自分も否定しなくていい」ということ。
たとえ今、うまくいかなくても、誰かに嫉妬しても、怒ってしまっても、
その感情を感じている“あなた”は、それでも価値のある存在なのです。

本当の成長は、“ダメな自分を直そうとすること”ではなく、
“ダメだと思っていた自分も受け入れること”から始まります。

ありのままを受け入れると、不思議なことに、自然と変化が起こります。
それは「無理に変えよう」とする努力ではなく、
「本来の自分に戻っていく」流れのようなものです。

■ 自己受容のステップ

カウンセリングの中でよく使われるキーワードに「自己受容(じこじゅよう)」があります。
これは、自分を好きになることではなく、自分を理解して受け止めることです。

たとえば――
「私は今、悲しんでいる」
「私は今、焦っている」
「私は今、自信がない」
そう気づくことが、自己受容の第一歩です。

評価したり、分析したりする必要はありません。
ただ「そう感じている自分がいる」と認めるだけでいいのです。
その“気づき”の中に、癒しの力が宿ります。

■ カウンセラーの役割は「受け入れる空間をつくること」

アドバンスレベルのカウンセラーに求められるのは、
相手を導くことではなく、相手が自分を受け入れられる空間をつくることです。

カウンセラー自身が「ありのままの自分」を認めているほど、
クライアントも安心して“本音”を表現できるようになります。

つまり、「あなたはあなたのままでいい」というメッセージは、
クライアントに伝える言葉であると同時に、カウンセラー自身にも向けられた言葉なのです。
自分を否定せず、未熟な部分も含めて受け入れる――
その姿勢が、他者を深く癒す力になります。

■ まとめ

「あなたはあなたのままでいい」――
この言葉は、すべてのカウンセリングの根底にある真理です。
どんな自分も否定せず、光も影もそのままに抱きしめていくとき、
心の奥にある本当の自分が顔を出します。

それは、「こうあるべき」ではなく、「これでいい」と思える感覚。
その瞬間、心は自由になり、人生の流れが優しく変わっていきます。

どうぞ、今日という日を生きるあなたが、
“ありのままの自分”に少しでも優しく微笑みかけられますように。
あなたは、あなたのままでいい。
それが、癒しと成長のいちばんの出発点なのです。

タイトルとURLをコピーしました