アドバンスカウンセリングで活かす「認知行動療法」──思考と行動を整える実践的アプローチ
カウンセリングがアドバンスレベルに進むと、
“気づきを支える対話” に加えて、
クライアントの思考や行動を整えるための具体的な技法 も求められます。
その中でも、もっとも効果的で応用しやすいのが 認知行動療法(CBT) です。
認知行動療法は、
「気持ちは“出来事”ではなく“考え方”によって生まれる」
という視点を軸に、思考・感情・行動のつながりを丁寧に見つめ直すアプローチです。
アドバンスカウンセリングでは、これをそのまま使うのではなく、
気づきを促すための“観察ツール”として”柔らかく”取り入れる のがポイントです。
■ 認知行動療法の基本:思考 → 感情 → 行動 のつながりを見る
CBTは、出来事そのものではなく、
「その出来事をどう捉えたか(認知)」が感情を生み出すと考えます。
例:
出来事「職場で上司に注意された」
↓
認知「私はダメな人間だ」
↓
感情「落ち込む、不安」
↓
行動「仕事に手がつかない」
この“思考の自動反応”に気づけるだけで、
クライアントの感情は大きく変化します。
■ アドバンスカウンセリングでの使い方:気づきを深める補助ツール
CBTをアドバンスで扱うポイントは、
「気づきを強制しない」「アドバイスとして使わない」 という姿勢です。
カウンセラーが行うのは、
考え方を修正するのではなく、
クライアントの中にある“認知のパターン”に光を当てること。
たとえば次のような働きかけが役立ちます。
「その時、どんな言葉が心の中に浮かびましたか?」 「その考えは、絶対に正しいと言い切れますか?」 「別の見方があったとしたら、どんな可能性がありますか?」
これらはクライアントの内側から気づきが生まれるため、
主体性を損なわずに思考の柔軟性を育てます。
■ アドバンスで特に使いやすい技法
● ① 自動思考の気づき
その瞬間に浮かんだ思考を言語化し、
「気づく」ことで感情の整理が進みます。
● ② 認知のゆるめ作業
“絶対”“いつも”“〜に違いない”などの
極端な思考パターンに気づき、柔らかくほぐしていく方法。
● ③ 行動実験
「考え方を変える」のではなく、
小さな行動を試すことで実感ベースの変化を起こすアプローチ。
■ 認知行動療法を使う時の注意点
クライアントを矯正しない 思考の“正しさ”ではなく“自由度”を育てる できない時は責めず、気づきを尊重する 深い感情処理が必要な時は焦らず傾聴を中心にする
アドバンスでは、技法よりも クライアントの心の安全基地 をつくる姿勢が最重要です。
■ まとめ:認知行動療法は“気づきを広げるレンズ”
アドバンスカウンセリングにおける認知行動療法は、
問題解決のための“指示”ではなく、
クライアントが自分の思考と感情を見つめるためのレンズです。
このレンズを通して、
クライアントは自分のパターンに優しく気づき、
少しずつ行動の選択肢を広げていくことができます。
柔らかく、丁寧に。
気づきを支えるアプローチとしてのCBTは、
アドバンスレベルのカウンセリングをより深める力になります。

