《カウンセリング(アドバンス)》カウンセリング(アドバンス)における「感情に同調する」という技術

カウンセリング〜アドバイス〜

カウンセリング(アドバンス)における「感情に同調する」という技術

カウンセリングの基礎段階では「傾聴」や「受容」が重要だと学びますが、アドバンスレベルに進むと、より繊細で高度な関わりが求められます。その代表的なテーマがクライアントの感情に同調するという姿勢です。同調とは、単に相手の話を聞いてうなずくことではありません。クライアントの内面で起きている感情の動きを、まるで隣で一緒に体験しているかのように理解し、寄り添うことを意味します。

感情に同調するとはどういうことか

感情への同調とは、「あなたは今、こう感じているのですね」と言葉と態度で正確に返していくプロセスです。ポイントは評価や解釈を加えないことです。
例えば、クライアントが「自分はダメな人間だと思う」と語ったとき、「そんなことはありませんよ」と励ますのは一見優しさに見えますが、感情への同調とは言えません。この場合、「ご自身をとても責めていて、つらい気持ちでいっぱいなのですね」と返すことで、クライアントは「理解された」と感じやすくなります。

同調がもたらす心理的効果

感情に同調されると、クライアントの中に安全感が生まれます。安全感が高まることで、防衛が緩み、より深い感情や本音が語られるようになります。
アドバンスのカウンセリングでは、この安全感の土台があるからこそ、認知の修正や行動変容といった介入が効果的に機能します。つまり、同調は単なる「優しさ」ではなく、治療的変化を促すための前提条件なのです。

同調と共感の違いを意識する

混同されやすいのが「共感」との違いです。共感はカウンセラー自身の感情を重ねる側面がありますが、同調はあくまでクライアントの感情に焦点を当て続ける姿勢です。
「私も同じ経験があります」と語りたくなる場面でも、アドバンスレベルでは一歩引き、クライアントの感情表現を深める問いかけを優先します。これにより、主役が常にクライアントであり続ける関係性が保たれます。

実践で意識したい3つのポイント

1つ目は、言葉だけでなく声のトーンや間を合わせること。
2つ目は、感情をラベリングする際に断定しすぎないこと(「〜のように感じますか?」)。
3つ目は、沈黙を恐れず、感情が自然に浮かび上がるのを待つ姿勢です。

まとめ

カウンセリング(アドバンス)における感情への同調は、高度でありながら非常に本質的な技術です。クライアントの感情を正確に受け取り、言葉として返すことで、深い信頼関係と変化の可能性が生まれます。同調を磨くことは、カウンセラー自身の在り方を磨くことでもあります。技法としてだけでなく、人としてどう相手と向き合うかを問い続ける姿勢こそが、アドバンスレベルのカウンセリングに求められているのです。

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