【カウンセリング(ベーシック)】「ほめられても、素直によろこべない」あなたへ〜差し出された言葉を、そっと受け取っていいというおはなし〜

カウンセリング〜ベーシック〜

「その服、すてきですね」「今日の仕事、すごくよかったよ」

だれかがそんなふうに声をかけてくれたとき、あなたの心は、どんなふうに動いているでしょうか。

「いえいえ、そんなことないです」
「たまたまですよ」
「わたしなんて、まだまだで……」

気づけば、反射的にそう返してしまう。せっかくのやさしい言葉なのに、素直に「ありがとう」と受け取れない。そんな自分に、ちょっぴり疲れてしまうこと、ありませんか。

今日は、そんな「ほめ言葉が、うまく受け取れない」あなたの心に、そっと寄り添ってみたいと思います。

どうして、素直によろこべないのだろう

ほめられたときに「そんなことない」と打ち消してしまうのは、あなたの心がひねくれているからではありません。むしろ、とても謙虚でまじめな心のあらわれかもしれません。

「調子に乗ってはいけない」「自分を大きく見せてはいけない」——そんなふうに、どこかで自分にブレーキをかけているのかもしれませんね。もしかしたら、小さいころから「謙遜することが、いいこと」だと教わってきたのかもしれません。

それに、「本当の自分」と「ほめられた自分」の間に、ギャップを感じてしまうこともあります。「そんなに褒められるような人間じゃないのに」と、心のどこかで自分を低く見積もっているとき、差し出された言葉が、なんだか居心地の悪いものに感じられてしまうのです。

どちらにしても、それはあなたが今日まで、まじめに、ていねいに生きてきた証。まずは、そんな自分を責めないであげてくださいね。

受け取ることは、相手へのやさしさでもある

ここで、ひとつだけ思い出してみてほしいことがあります。

ほめ言葉は、相手からあなたへの「小さな贈りもの」のようなもの。せっかく差し出してくれたその贈りものを、「いえいえ」と押し返してしまうと、相手はほんの少し、さみしい気持ちになるかもしれません。

反対に、あなたが「ありがとう、うれしいです」と受け取ってくれたら、贈った相手も、ふっとあたたかい気持ちになれるのです。

つまり、素直に受け取ることは、わがままでも、うぬぼれでもありません。むしろ、言葉をくれた相手へのやさしいお返しでもあるのですね。

「受け取る」ことは、決して自分を大きく見せることではありません。相手の気持ちを、そのまま大切にすること。そう思うと、少しだけ、肩の力がぬけてきませんか。

「ありがとう」だけ、そっと言ってみる

とはいえ、いきなり「うれしいです!」と満面の笑みで返すのは、なかなかむずかしいものですよね。

そこで、まずは小さな一歩から。ほめられたとき、「いえいえ」の代わりに、ただひとこと「ありがとうございます」とだけ言ってみるのはいかがでしょう。

言い訳も、打ち消しも、いりません。ただ「ありがとう」。それだけで十分なのです。

はじめは、少し照れくさいかもしれません。でも、何度かくり返すうちに、その言葉が、じんわりと心になじんでくるのを感じられるはずです。

そしてもし、ひとりのときに余裕があれば、その日にもらったほめ言葉を、そっと心の中でもう一度なぞってみてください。「そうか、あの人はわたしのことを、そんなふうに見てくれていたんだ」と。急いで打ち消さず、その言葉のぬくもりを、ゆっくり味わってあげるのです。

受け取る練習は、自分をやさしく認めていく練習でもあります。焦らなくて、大丈夫。少しずつで、いいのですよ。

おわりに

ほめられても素直によろこべないのは、あなたが謙虚で、まじめに生きてきたから。決して、悪いことではありません。

でも、これからは少しだけ、差し出された言葉を、そっと受け取ってみませんか。「ありがとう」のひとことは、あなたと、言葉をくれた相手、両方の心をあたためてくれます。

あなたは、ほめられるにふさわしい人です。だれかが見つけてくれたあなたのよさを、どうか、あなた自身も信じてあげてくださいね。

あなたはあなたのままで、じゅうぶんに、すてきです。


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