一日の終わり、布団に入ってから「今日はなんだかバタバタしていたな」「あんまりいいことなかったかも」なんて、ため息とともに眠りにつく夜はありませんか。
がんばって過ごした一日なのに、なぜか心に残るのは、うまくいかなかったことや、モヤっとした場面ばかり。そんなふうに感じてしまうのは、決してあなたが後ろ向きだからではありません。今日はそんな夜に、そっと寄り添ってくれるちいさな習慣のおはなしをしてみたいと思います。
心は、もともと「気になること」を覚えやすい
わたしたちの心は、うれしかったことよりも、心配ごとや失敗のほうを強く覚えておきやすい、そんな性質があると言われています。
これは、あなたがネガティブなわけではなくて、心が「あなたを守ろう」としてくれているからなのかもしれません。危ないことや気になることをしっかり覚えておこうとする、いわば心のやさしいクセのようなものです。
でも、そのままにしておくと、せっかく一日の中にあった小さなうれしさや、あたたかい瞬間が、すーっと通り過ぎていってしまいます。だからこそ、寝る前に少しだけ立ち止まって、「今日のよかったこと」に目を向けてあげる時間が、心にそっとバランスをもたらしてくれるのですね。
「よかったこと」は、うんと小さくていい
やり方は、とてもかんたんです。ノートでも、スマホのメモでも、なんでもかまいません。眠る前に、今日あった「よかったこと」を三つ、書き出してみるだけ。
このとき、大切なコツがひとつあります。それは、うんと小さなことでいい、ということ。
「朝のコーヒーが、いつもよりおいしかった」
「電車で座れて、ほっとした」
「空がきれいで、思わず見上げた」
そんな、ふだんなら通り過ぎてしまうようなちいさな一場面で、じゅうぶんです。大きな出来事や、人に自慢できるようなことでなくて、まったくかまいません。むしろ、日々の中にそっと隠れている小さな幸せを見つけることこそ、この習慣のいちばんやさしいところなのです。
もし三つ思い浮かばない夜があっても、大丈夫。「あたたかいお布団に入れた」「一日を、無事に終えられた」——それだって、りっぱな「よかったこと」ですよ。
続けるうちに、心の「まなざし」が変わっていく
この習慣を少しずつ続けていくと、不思議なことが起きるかもしれません。
一日を過ごしている最中に、「あ、これ今夜書こうかな」なんて、うれしいことを見つけようとする自分に気づく瞬間が出てくるのです。心のまなざしが、少しずつ「よかったこと」のほうへ向きはじめる、とでも言いましょうか。
無理に前向きになろうとしなくていいのです。ただ、日々のなかにある小さな光に、そっと目をとめてあげる。それを続けるうちに、いつのまにか一日の終わりが、以前よりもやわらかく感じられるようになっていく——そんなふうに寄り添ってくれる習慣です。
書いたノートを、数日後や数週間後に読み返してみるのもおすすめです。「こんなに小さなしあわせが、毎日あったんだな」と、過ぎた日々がやさしく思い出されて、心がほんのりあたたかくなりますよ。
おわりに
一日の終わりに、今日の「よかったこと」を三つ。ほんの数分の、ちいさな習慣です。
うまくいかなかった日も、なんだか疲れてしまった日も、その中には必ず、小さな光がまじっています。それを見つけてあげられるのは、ほかでもない、一日をがんばって過ごしたあなた自身です。
もし今夜、書けることがひとつも見つからなくても、それでいいのです。あなたが今日を生きて、こうしてゆっくり眠りにつこうとしていること。それ自体が、もうじゅうぶんに素敵なことなのですから。
今夜も、あなたにやさしい眠りが訪れますように。おやすみなさい。
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