ふと空を見上げたとき、ぽっかりと浮かぶ雲が、ゆっくりと流れていくのを見たことはありませんか。
さっきまでウサギのようだった雲が、いつのまにか、ぜんぜんちがうかたちになっている。名前をつけたくなるような雲も、しばらく目を離すと、もうどこかへ行ってしまっている。
そんな空の様子を、ただぼんやりと眺めているだけで、なんだか心がふっとゆるむ瞬間があります。今日は、そんな「流れる雲」と過ごす、やさしいひとときのおはなしをしてみたいと思います。
雲は、とどまらない。それでいいんだよ
雲のいちばん不思議なところは、けっして同じ姿でとどまらないことかもしれません。
かたちを変え、色を変え、風にのって、ゆっくりと流れていく。それでも空は、雲をつかまえておこうとはしません。ただ、来ては去っていくのを、静かに見送っているだけです。
わたしたちの心のなかにも、いろんな思いが浮かんでは消えていきます。うれしいこと、モヤモヤすること、ちょっぴり切ないこと。そのどれもが、まるで空を流れる雲のように、やってきては、また過ぎていくものなのかもしれません。
「ずっとこの気持ちのままだったら、どうしよう」
そんなふうに感じるときこそ、空を見上げてみてください。どんなに大きな雲も、いつかは形を変え、流れていきます。あなたの心に浮かんだ思いも、きっと、そっと通り過ぎていっていいのです。
空を見上げて、深呼吸をひとつ
雲を眺めるのに、特別な準備はいりません。
窓辺でも、ベランダでも、通勤や通学の途中でも。ふと立ち止まって、空を見上げるだけで大丈夫です。
見上げたら、まずは大きく息を吸って、ゆっくりと吐いてみましょう。空の広さに合わせて、胸のあたりもふわりとひらいていくような気持ちで。
そうして、流れていく雲を、ただ目で追ってみます。「あの雲、ゆっくりだなあ」「あっちは急いでるみたい」なんて、心のなかでつぶやいてみるのもすてきです。
このとき、なにかを考えようとしなくても、いいんです。むしろ、頭のなかにある考えごとも、雲といっしょに、そっと空に流してしまうような気持ちで。
首をうしろにそらすのがつらいときは、ベンチにもたれかかったり、寝転がって見上げるのもおすすめです。あなたが、いちばんラクな姿勢で空とつながってみてくださいね。
手放すことを、雲がおしえてくれる
わたしたちは、つい「がんばって手放さなきゃ」と、力を入れてしまうことがあります。
でも、雲を見ていると気づかされます。手放すというのは、もしかしたら「がんばって捨てる」ことではなくて、「流れていくのを、そっと許してあげる」ことなのかもしれない、と。
無理につかまえない。無理に追い払わない。ただ、来たものが去っていくのを、空のように、静かに見送る。
今日、あなたの心に重たいものがあったとしても、それをむりやり消そうとしなくて大丈夫です。空を見上げて、「これも、いつか流れていくんだな」と、そっと思えたら、それだけで十分なのですから。
雲は、今日もあなたの頭の上を、ゆっくりと流れています。急がなくていいよ、と言ってくれているみたいに。
おわりに
流れる雲は、かたちを変えながら、静かに過ぎていきます。その姿は、わたしたちの心に浮かぶ思いも、いつか流れていくのだと、やさしく教えてくれているようです。
つかまえなくていい。追い払わなくていい。ただ、空のように、そっと見送ってあげる。
今日、少しだけ心が重たいなと感じたら、ぜひ空を見上げてみてください。そこには、あなたのために、ゆっくりと流れていく雲がいるはずです。
急がなくて、大丈夫。あなたはあなたのままで、ちゃんと前に進んでいます。
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