夜、お部屋の電気を少し落として、ひとつのキャンドルに火を灯す。ただそれだけのことなのに、なんだか心がふっとゆるむ瞬間ってありませんか。
ゆらり、ゆらりと揺れる小さな炎を見つめていると、いつのまにか頭の中のおしゃべりが静かになって、呼吸もゆっくりになっていく。今日は、そんな「キャンドルの灯り」とすごす、やさしいひとときのおはなしをしてみたいと思います。
ゆらぐ炎には、心をほどく力があるのかもしれません
キャンドルの炎は、同じかたちのまま止まっていることがありません。すーっと伸びたかと思えば、ふわりと揺れて、また小さくなって。その「ゆらぎ」を、私たちはなぜだか、ずっと見ていられます。
昔から、たき火や暖炉、ろうそくの灯りは、人の心をやさしく包んできました。理由をむずかしく考えなくても、あのあたたかなオレンジ色を見ていると、なんとなくほっとする——その感覚を、どうか大切にしてあげてください。
がんばった一日の終わり、頭の中がいろんな考えでいっぱいのとき。炎のゆらぎに目をあずけていると、ぐるぐると回っていた思考が、少しずつしずまっていくことがあります。「今」というこの瞬間に、そっと心が戻ってくるような感じです。
キャンドルとすごす、やさしい時間のつくりかた
むずかしい準備はいりません。小さなキャンドルがひとつあれば、それで十分です。
まずは、お部屋の電気を少しやわらげて、火を灯します。そして、炎から少し離れたところに、楽な姿勢で腰をおろしてみましょう。
あとは、ただ、炎をながめるだけ。「うまく集中しなきゃ」と力む必要はありません。ほかのことを考えてしまっても、それでいいんです。気づいたら、また炎にそっと目を戻す。それをくり返すうちに、呼吸がゆっくりになっていくのを感じるかもしれません。
数分でも、十分でも、あなたが心地よいと感じる長さで大丈夫。時間を計らなくても、「そろそろかな」と思ったところで、やさしく火を消してあげてください。
火を使うものですから、消し忘れや、まわりに燃えやすいものがないかだけ、そっと気をつけてあげてくださいね。それさえ気をつければ、とても手軽に始められる、あなただけの静かな時間です。
「何もしない」を、自分に許してあげる
キャンドルを見つめる時間の、いちばんやさしいところ。それは、「何もしなくていい」ということなのかもしれません。
私たちはふだん、あれもこれもと動きつづけて、気づけば心が休むひまもなく走っています。そんな中で、ただ炎をながめるだけの時間は、「立ち止まっていいんだよ」と、自分にそっと許可をあげているようなものです。
炎は、あなたに何かを求めてきません。うまくやることも、がんばることも、いりません。ただ、そこで静かに揺れている。その姿を見ているだけで、「このままでいいんだ」と、心のどこかがゆるんでいく気がします。
生産的でなくてもいい。ぼんやりする時間があってもいい。そういう「余白」こそが、じつはいちばん、心を養ってくれるのかもしれませんね。
おわりに
キャンドルの灯りとすごす時間は、とくべつな道具も、むずかしい知識もいりません。小さな炎ひとつと、少しの静けさがあれば、それで十分です。
ゆらぐ灯りを見つめながら、今日一日がんばった自分に、そっと「おつかれさま」と声をかけてあげてください。
あなたの夜が、あたたかなオレンジ色にやさしく照らされますように。
火の灯りのように、あなたの心も、ふんわりとあたたかくありますように。
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