夜、ふとんに入って目を閉じたとき。あるいは、家事をしていてぼんやりしたとき。とつぜん、何年も前の「うわっ、思い出したくない」という場面が、頭の中によみがえってきたことはありませんか。
あのときの、うまく言えなかった言葉。まわりに笑われた、ちょっとした失敗。もう終わったことなのに、思い出すたびに顔が熱くなって、「ああっ」と声が出そうになる——。
そんな経験がある方に、今日はそっと寄り添うおはなしをお届けします。
それは、あなたが真面目な証拠かもしれません
まず、お伝えしたいことがあります。過去の恥ずかしい記憶が、ふとした瞬間によみがえってくるのは、決してあなただけではありません。多くの人が、こっそり同じ経験を抱えています。
そして、こういう記憶が浮かんでくるのは、あなたが「ちゃんとしたい」「人に迷惑をかけたくない」と、まわりを大切に思ってきた証拠でもあるのです。
どうでもいいと思っていることは、そもそも心に残りません。何度も思い出してしまうのは、あなたがそのとき、一生けんめいだったから。真剣に向き合っていたから、心のどこかに残っているのですね。
だから、「またあの記憶が出てきた」と自分を責めなくて大丈夫。それは、あなたのやさしさや真面目さの、ちょっと不器用なあらわれなのかもしれません。
「よく思い出したね」と、声をかけてあげる
とはいえ、思い出すたびに胸がぎゅっとなるのは、しんどいものですよね。そんなときに、そっと試してみてほしいことがあります。
記憶がよみがえってきたら、追い払おうとするのではなく、まずは「ああ、また来たね」と気づいてあげてください。無理に消そうとすると、かえって心に居座ってしまうことがあるからです。
そして、できれば当時のあなたに、こんなふうに声をかけてみてください。
「あのときは、精いっぱいだったね」
「よくがんばっていたね」
過去の場面の中にいるのは、今よりも少しだけ経験の浅かった、あの日のあなたです。そのあなたは、その時にできる最善を尽くしていました。今のあなたが持っている知識も、経験も、まだ手にしていなかっただけなのです。
責めるのではなく、ねぎらってあげる。それだけで、記憶の”とげ”が、少しずつまるくなっていくことがあります。
記憶は、少しずつ色を変えていける
不思議なもので、同じ出来事でも、思い出すときの気持ちしだいで、記憶の”色”は変わっていきます。
「最悪だった」と何度もなぞれば、その記憶はどんどん濃くなってしまいます。でも、「あのときの自分も、がんばっていたな」とやさしく振り返るたびに、記憶はやわらかな色に染まっていくのです。
もし、ひとりで抱えるのがつらいときは、信頼できる人に「実はね」と打ち明けてみるのもいいかもしれません。声に出してみると、「なんだ、そんなに大したことじゃなかったかも」と、ふっと軽くなることがあります。
それでも心にひっかかり続けるときは、カウンセリングのような、話を聴いてもらえる場所を頼るのも、ひとつのやさしい選択です。ひとりで抱えこまなくて、いいのですよ。
おわりに
ふとよみがえる恥ずかしい記憶は、あなたが真剣に生きてきたしるし。消そうと戦うのではなく、「あのときも、よくがんばったね」と、そっとねぎらってあげてください。
過去のあなたも、今のあなたも、どちらもかけがえのない、大切なあなたです。
思い出して胸がざわついた夜は、深呼吸をひとつ。そして、こうつぶやいてみてください。「もう、大丈夫だよ」と。
あなたはあなたのままで、じゅうぶんがんばっています。今日も、おつかれさまでした。
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