だれかが手を差しのべてくれたとき、「そんな、悪いよ」「大丈夫だから」と、つい遠慮してしまう。ほめられても「いえいえ、私なんて」と打ち消してしまう。
もし、あなたにそんな覚えがあるなら——今日はそっと、そのお話をしてみたいと思います。
やさしさを受け取ることが、なんだか気恥ずかしかったり、申し訳なく感じたり。それは決して、あなたがひねくれているからではありません。むしろ、まわりを気づかう気持ちがとても強い、やさしい人ほど、そう感じやすいのかもしれませんね。
どうして「受け取る」のがむずかしいの?
人からの好意を素直に受け取れないとき、心の奥には、いろんな気持ちが隠れていることがあります。
「迷惑をかけたくない」「借りをつくりたくない」「自分にはそんな価値はない」——。
こうした思いは、これまでのあなたの生き方や、まわりとの関わりの中で、少しずつ育ってきたものかもしれません。人に頼らず、自分でがんばることを大切にしてきた。その積み重ねが、いつのまにか「受け取ること」への遠慮につながっている、ということもあるのです。
だから、うまく受け取れない自分を責めなくて大丈夫。それはあなたが、これまで一生けんめい生きてきた証でもあるのですから。
「与える」と「受け取る」は、やさしさのキャッチボール
ここで、ひとつだけ思い出してみてほしいことがあります。
あなたが誰かにやさしくしたとき、その相手が「ありがとう、うれしい」と笑顔で受け取ってくれたら、あなたはどう感じるでしょう。きっと、こちらまであたたかい気持ちになりますよね。
そう、やさしさは、受け取ってもらえてはじめて、まるく完成するのです。
あなたが好意を素直に受け取ることは、相手の「あげたい」という気持ちを、そっと受けとめてあげること。それは、相手へのやさしさでもあるのです。
受け取ることは、わがままでも、ずうずうしいことでもありません。やさしさのキャッチボールに、そっと参加すること。そう考えてみると、少し肩の力がぬけてきませんか。
今日からできる、小さな受け取り方
とはいえ、「今日から素直に受け取ろう」と思っても、長年の習慣はすぐには変わらないものです。だから、まずはほんの小さな一歩から始めてみましょう。
たとえば、誰かに何かをしてもらったとき、いつもの「ごめんね」を、そっと「ありがとう」に変えてみる。たったこれだけでも、心のあり方が少し変わっていきます。
ほめられたときは、無理に打ち消さなくても大丈夫。「そんなことないよ」の代わりに、「そう言ってもらえて、うれしいな」と、心の中でつぶやいてみる。声に出せなくても、まずは自分の中でそう感じてみるだけでいいのです。
そして、いちばん大切なのは、あなた自身が「私は、やさしさを受け取ってもいい人なんだ」と、少しずつ思えるようになること。あなたには、ちゃんとその価値があります。誰かにやさしくされるのに、特別な理由なんていらないのですから。
もし、こうした思いの背景にあるものを、じっくり見つめてみたくなったら。カウンセリングという場で、あなたのペースでゆっくり紐解いていく、という方法もあります。ひとりで抱えこまなくても、いいのですよ。
おわりに
人からのやさしさを受け取ることは、はじめは少し勇気がいるかもしれません。でも、それはあなたがまわりを大切にしてきたからこそ生まれた、やさしい遠慮でもあります。
だから、あせらなくて大丈夫。今日は「ありがとう」を、ひとつだけ受け取れたら、それで十分です。
あなたは、やさしくされていい人です。そのままのあなたで、そっと手を広げてみてくださいね。
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