ふとした瞬間に、胸の奥がぎゅっと熱くなって、目のふちにじんわり涙がにじむ。そんなとき、あなたはどうしていますか?
「ここで泣いたら、心配をかけちゃう」
「大人なのに、みっともないかな」
そう思って、あわてて上を向いたり、笑ってごまかしたり。涙を、ぐっと飲みこんでしまう方も多いのではないでしょうか。
今日は、そんな「泣くのをがまんしてしまう」心に、そっと寄り添うおはなしをしてみたいと思います。
涙をこらえるのは、あなたがやさしいから
泣くのをこらえるとき、その心の奥には、たいてい「やさしさ」がひそんでいます。
まわりに気をつかって、「空気を悪くしたくない」。
弱いところを見せて、「相手を困らせたくない」。
あるいは、これまで「泣かずにがんばること」で、なんとか自分を守ってきたのかもしれません。
だからね、涙をこらえてしまう自分を、どうか責めないであげてください。それは、あなたがまわりを思いやれる人で、そして一生けんめい踏んばってきた証(あかし)なのですから。
ただ、涙にも、心にも、ほんとうは「出口」が必要なんです。ふたをしめたままのやかんが、いつかシューッと湯気を噴くように、行き場をなくした気持ちは、どこかで少しずつたまっていきます。
涙は、心がこぼす「小さな合図」
涙って、悲しいときだけに出るものではありません。
うれしいとき、ほっとしたとき、あるいは自分でも理由がわからないまま、じわりと出てくることもありますよね。それはきっと、心が「もう、いっぱいいっぱいだよ」「ここまでよくがんばったね」と、そっと合図を送っているのかもしれません。
涙をこぼすことは、けっして弱さではありません。むしろ、心にたまったものを、やさしく流していくための、とても自然なはたらきなのだと思うのです。
もし今度、涙がこみあげてきたら、こんなふうに心の中でつぶやいてみてください。
「うん、出ておいで。だいじょうぶだよ」
だれかの前で泣くのがむずかしければ、ひとりの時間でもいいんです。お風呂の中や、ふとんにもぐりこんだ夜、車の中や、お気に入りの音楽を聴きながら。あなたが安心できる場所で、そっと出口をひらいてあげてください。
泣いたあとの自分を、やさしく抱きしめて
思いきり泣いたあと、なんだか少しだけ、胸のあたりが軽くなっていることに気づくかもしれません。目もとは腫れていても、心の奥のこわばりが、ほんのり、ほどけている。そんな感覚です。
泣いたあとは、どうか自分をいたわってあげてください。
あたたかい飲みものを、ゆっくりひとくち。
つめたいタオルで、そっと目もとを冷やして。
「よくがんばったね」と、胸に手を当てて。
涙を流したあなたは、けっしてみっともなくなんてありません。ちゃんと自分の気持ちと向き合えた、とても勇敢(ゆうかん)なあなたです。
そして、もし「どうしても涙が止まらない」「気持ちが重たい日がつづく」と感じるときは、ひとりで抱えこまず、身近な人や、専門の窓口に頼ることも、どうか思い出してくださいね。頼ることも、あなたを大切にするひとつの方法です。
おわりに
涙をこらえてしまうのは、あなたがやさしくて、がんばり屋さんだから。でも、たまにはそのやさしさを、自分自身にも向けてあげてほしいのです。
泣きたいときは、泣いていい。
がまんした涙に、そっと出口をつくってあげる。
それだけで、心はふっと軽くなっていくものです。
涙をこぼすあなたも、こらえていたあなたも、どちらも大切なあなた。あなたはあなたのままで、じゅうぶんなのですから。
今日も、あなたの心が、すこしでもやわらかくほどけますように。
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